町田くん舞台「紺屋の明後日」

  • 2019.09.30 Monday
  • 19:53

 

紺屋の明後日・・(こうやのあさって)紺屋の仕事は天候に左右され仕上がりが遅れがちで、催促されるといつも「あさって」と言い抜けるばかりで、当てにならないこと。約束の期日が当てにならないことのたとえ。

 

最初にこの題名を聞いた時、何の事だろうと思ったけど、舞台を観終わった後に納得。最後に何とも言えないモヤモヤが残ったのがその意味なのかなと。でも、掘れば掘るほどいろんな感情が湧いてきて、これはものすごいもの観たぞ!って気分になる不思議な舞台でした。

 

 

キ上の空論#11「紺屋の明後日」

 

〈作・演出〉中島庸介

 

〈キャスト〉町田慎吾 新垣里沙 藤原祐規 黒沢ともよ 寿里 高橋明日香 岩井七世 齊藤明里 五十嵐啓輔 森下亮 藍澤慶子 加茂井彩音 春名風花 名塚佳織

 

〈会場〉あうるすぽっと(東池袋)

 

〈日程〉2019年9月20日(金)〜29日(日) *鑑賞日 9月27日(金)19:00

 

 

いつも楽しみにしてるファンからのお花。

 

 

〈あらすじ〉*舞台チラシより

 

岐阜県のとある町。定食屋で働いているツヅリ(新垣)は、新入りの辺見(町田)に仕事を教えていた。不器用で愛想のない辺見を苦手に思うツヅリだったが、ある日、同じキーホルダーを身に着けていることに気づき、それをきっかけに仲が深まっていく。やがてツヅリは辺見に特別な感情を抱くようになる。

 

月日は流れ、定食屋の仕事に慣れてきた辺見は、店長の雪村(森下)と、従業員の蘭(高橋)と一緒に『パブ・アクア』へ飲みに行く事に。一方ツヅリは、飲み友達の絵美(黒沢)とアクアに向かった。たまたま合流した5名は酒を飲み交わすが、ツヅリは絵美の様子がおかしいことに気づく。後日、絵美に電話すると、21年前に自分の姉・色葉(藍澤)が辺見に強姦され殺されたと言うのだ。ツヅリは真剣に話を聞くふりをして、まったく信じていなかった。

 

隣町での出来事。

清掃のアルバイトをするヨシト(寿里)は、休憩中に中学生のアイネ(春名)と出会う。なんとなく話を始めた2人は、日がたつに連れ、互いに心を開くようになる。

数か月後、LINEを交換した2人は毎日のように連絡を取るようになっていた。

だが突然アイネとの連絡が途絶えてしまう。アイネは何者かに殺されていた。

 

隣町で起こったアイネの事件を知り、ツヅリは辺見について調べ始める。そんな中、便利屋を名乗る阿部(藤原)に辿り着く。

 

一方絵美は、ヨシトと接触し、辺見への復讐を目論むのだった・・・。

 

 

ここからは個人的な感想です。

 

 

★挑戦的な演出

 

始まりは、前置きもなく静かに役者さんが舞台に現れるという形。うかつに席を離れてたらあわててしまいます。また逆に最後はズーンと重い台詞で終わり、衝撃で席から立てなくなります。重要な場面で突然入る爆音の砂嵐!これには何度も驚かされました。岐阜弁がセリフを柔らかく感じさせてくれてはいるのだけど、時に言葉遊びのようなセリフが入ったり、ガムをくちゃくちゃ噛む音で、その人物の心のありようを表わしたり、喫煙シーンを象徴的に使ったり、殺人シーンに金属バットの音を重ねたり、不快感をある意味、味方に付けた演出でした。(かなり苦手な方もいたかもしれないけど。)あと、小道具として怖かったのが料理包丁、殺された少女が持っていた傘。そして柄の長いカナヅチ。特に柄の長いカナヅチはとある殺人シーンで使われたあとずっと舞台に転がっていました。誰かがふと手に取るのではないかという緊張感。そして、特に気になったのが、紺色の染料がところどころ染み込んだ衣装。闇の深さを表わしているようでした。殺人とは程遠い感じの人物のスカートの紺が、最も深くて気になっていたのですが、実は一番危険な人物でした。

 

 

★登場人物それぞれの立場と視点

 

この舞台はオムニバス形式で登場人物の視点が描かれます。見る側はそのふり幅にドキドキし、2時間20分ノンストップで楽しめました。以下、私なりの分析です。

 

ツヅリ(新垣里沙)・・・子供の頃に父親から受けた暴力で片耳と足が不自由になってしまった。結婚して幸せになるはずが、表向き優しい夫コウの浮気に気が付き悶々としてる。そんな時辺見に出会い、かつて父親を憎み殺そうとした自分と重ねあわせ心を寄せるが・・感情もなく一線を越えてしまった彼とはやはり一緒にいられないと思う。

コウ(五十嵐啓輔)・・・いわゆるズルい夫。嘘をつくのが下手でツヅリに浮気がバレてしまう。でも、もしかしたらツヅリの闇にいち早く気づき、怯えていたのかも。

幸村(森下亮)・・・定食屋の店長。人当たりは良いがトラブルは避けたい人。辺見を理解するふりをして最終的には解雇を促させる。

蘭(高橋明日香)・・・ツヅリの同僚。子供の頃からクラスのまとめ役を任されどこか自信があった。しかし、辺見が元殺人犯と知ってからその自信がガタガタになる。

堀米(岩井七世)・・・犯罪ヲタク。いろいろな犯罪についてネット検索するのが好き。辺見に出会って興奮し、質問攻めにした挙句包丁で切り付けられ我に返る。

阿部(藤原祐規)・・・辺見の元同僚。今は便利屋。あるとき辺見の心の叫びを聞いてしまってからずっと気にしてる。でも、彼を助けることは出来ない。

久保田(加茂井彩音)・・・便利屋の助手。物事をうっすら俯瞰して、危ない事には首を突っ込まない主義。ガムをくちゃくちゃ噛む癖が。

絵美(黒沢ともよ)・・・姉の色葉を辺見に殺されてからずっと心が病んでいる。そして、いつの間にか成長した色葉の幻影が現れるようになってしまった。あるとき偶然にも、友人のツヅリを介して辺見に出会ってしまう。そのことで辺見の過去が暴かれ、職場の雰囲気が一転する。そして絵美は、ひたすら辺見への復讐に燃えてしまう。彼女は隣町の殺人事件の犯人も辺見だと思い、ニイナヨシトに声をかけて彼を殺害しようと呼びかけるが誰も協力してくれない。とうとう自分一人で殺そうと挑むが、辺見が絵美に殺されたがってることに気が付き思いとどまる。

近藤色葉(藍澤慶子)・・幽霊なのか幻影なのか分からないが、いつも絵美の傍にいて話し相手になっている。絵美の憎しみをどこか悲しい目で見つめてる。

アイネ(春名風花)・・・隣町で殺された女子中学生。学校をさぼるのが好きで、たまたま公園で清掃アルバイトをしてたヨシトと友達になる。しかし彼女は、今まで何人かの男性とこのようにして仲良くなり甘えては別れを繰り返していた。なんと堕胎経験が2回・・。

ヨシト(寿里)・・・元戦隊物ヒーローを演じてたイケメン俳優。アイネと飯田の三角関係の中心にいる事にも気が付いていない。アイネを亡くして現実を受け入れられないでいる。

紺野ニイナ(齊藤明里)・・・アイネの事がずっと疎ましかった。彼女が殺されてもどこか淡々としてて、絵美に辺見の殺害計画を持ちかけられても「あなたとは違う。」の一点張りだった。

飯田(名塚佳織)・・・アイネの担任。姉のニイナを元気づけようと頻繫に会いに行くがいつも断られている。さらに、アイネが殺された場所に毎日献花しようとしては心折れて帰っていくヨシトにも親しく話しかける。実は・・・アイネ殺しの犯人は飯田だった。しかもヨシトの大ファンだった。恋の邪魔をするアイネを殺し、それを隠して同じ悲しみを負うものとして彼に近づこうとした。おそらく、登場人物の中で一番危ない人。

 

 

★辺見の独白

 

辺見の独白は、キャストが1列に並んでカーテンコールと見せかけ拍手をもらったそのあとに、一人残って突如始まる。このラストシーンに観客はしばし息をのみ、立ち上がられなくなってしまう・・。

 

21年前の中学2年生の時、クラスの女子を殺してしまった辺見。性的欲求で殺した訳ではなく、ただ殺してみたくなってしまったのが理由。そして彼女を生き返らすために行為に及んだという。今となってはなぜそんなことをしてしまったのか?自分でも分からなくなっている。彼は毎年彼女の命日に被害者家族に手紙を送る。しかし、絵美に手紙の束を突き返されて、むしろ殺して欲しいくらいの気持ちが募っていく・・。

「いつになったら許してもらえるのですか?21年前の自分はもはや違う自分。当時の事はあまり覚えていない。むしろ、14歳の自分に人生を奪われた被害者だ。だから、今の自分はこんなにも誠意があるのだと伝えたくて手紙書いてる。」

 

涙が出ました・・。でも、そちら側に行ってはいけないと思いました。(町田くん自身も、パンフのインタビューの中で「ここまでの拒絶は初めてかもしれない。」と書いています。)

 

後に知ったことですが、手紙は家族宛てではなく、殺めてしまった色葉宛てだったと。なんか背筋が寒くなりました。

 

未だに心がぐちゃぐちゃになっています。でも一つ言えることは、罪は「死」をもって償うことは出来ないということ。だから「紺屋の明後日」ではあるけれど、生き続けている限り辺見が救われる日がいつか来るのではないかと思っています。とにかく凄い舞台でした。町田くんの奥深い演技に大きな拍手を!

 

 

 

 

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